フィルムで観る TETTO Cinema Vol.5 邦画名作上映会

イベント概要


令和6 年度優秀映画鑑賞推進事業

フィルムで観る TETTO Cinema Vol.5 邦画名作上映会

風俗喜劇に家族喜劇、個性的な監督たちとユーモアあふれる俳優たち
さまざまな笑いを楽しめる一風変わった喜劇を紹介。

 

プログラム

1/25㊏ 10:30-12:07
本日休診[1952年  松竹(大船)]
【監督】渋谷実 〈出演〉柳永二郎 / 鶴田浩二/ 淡島千景/ 角梨枝子 ほか
(白黒/スタンダード/モノラル(濃淡型)/97分)

井伏鱒二の同名小説と「遥拝隊長」の二つの短編をもとに、ベテランの斎藤良輔がシナリオを書いた風俗喜劇。ある町の老医師・三雲八春は、院長を甥の伍助に譲って一年目。今日は本日休診の札を掲げて、院長を始め看護婦たちを慰安旅行に出してやった。そんな居残りの彼のもとに、次から次へと突飛な事件が舞い込んでくる。新人・三国連太郎が演じた、戦地で頭に負傷したことから発作的に軍隊時代に逆戻りする青年の姿は、見るものに強い印象を残す。監督の渋谷実は、松竹で成瀬巳喜男や五所平之助らの助監督を務め、戦後獅子文六原作の風俗喜劇で監督としての地位を確立、『現代人』(1952)など社会派ドラマでも知られる。ドライな感覚に鋭い風刺を盛り込んだ作風は、この群像喜劇にも存分に活かされている。「キネマ旬報」ベストテン第3位。


1/25㊏ 14:00-15:52
貸間あり[1959年  宝塚映画]
【監督】川島雄三 〈出演〉フランキー堺/ 淡島千景/ 乙羽信子 ほか
(白黒/シネマスコープ/モノラル/112分)

45歳で世を去った川島雄三監督の晩年の代表作であり、喜劇映画作家としての稀有な才能を存分に発揮した快作でもある。井伏鱒二の原作を、当時駆け出しのシナリオライターであった藤本義一と川島が奔放に脚色。遥か通天閣を見渡す大阪・天王寺の夕陽ヶ丘に立つ風変わりなアパートに暮らす、奇妙な住人たちの生態を、下品さと紙一重の人間臭い猥雑さのなかに描いている。何につけても器用で人から頼まれたら断れない性格、そのくせ素直になることを恥じて逃避してしまうフランキー堺演じるインテリの主人公は、まさに川島監督の自画像と言えるだろう。熟練のバイプレーヤーたちが、怒涛のように畳み掛けるアンサンブルも圧巻。この時代、川島監督とのコンビが多かった名手・岡崎宏三のキャメラが、破天荒なドラマを端正な画面のなかに収めている。


1/26㊐ 10:30-12:00
喜劇 女は男のふるさとよ[1971年  松竹]
【監督】森崎東 〈出演〉森繁久弥/ 中村メイコ/ 倍賞美津子 ほか
(カラー/シネマスコープ/モノラル/90分)

松竹の喜劇「女」シリーズの第1作。東京新宿でストリッパーを斡旋する芸能事務所には、身寄りがなく、貧しいけれども逞しいダンサーたちが、人情に厚い経営者夫婦の「家族」として住んでいた。ふとしたトラブルから旅回りを決意したダンサーと、彼女を真面目に慕うひとりのファンが、改造した自動車で日本列島を南へと向かう。この作品を演出した森崎東は、庶民の生活からにじみ出る人間臭いエネルギーを笑いとともに描くことに優れた監督で、この映画の脚本は、松竹大船撮影所の先輩である山田洋次と組んで執筆した。このシリーズは、逆境にめげない逞しい女性像と不器用な生き方しかできない男性たちを対比させながら、こうした新しい「家族」の形を示すことで松竹ホームドラマの伝統を引き継いだとも言えるだろう。この映画のヒットに続いて『喜劇 女生きてます』(1971)や『喜劇 女売り出します』(1972)などの力作を送り出している。


1/26㊐ 14:00-15:53
転校生 [1982年 日本テレビ放送網=ATG=PSC]
【監督】大林宣彦 〈出演〉尾美としのり/ 小林聡美/ 佐藤允 ほか
(カラー/ヨーロピアン・ビスタ/モノラル/113分)

舞台は尾道の中学校。坂と海と光の街だ。夏のある日、ワンパク少年斉藤一夫のクラスに一人の転校生がやってきた。女の子だ。名前は斉藤一美といい、一夫と一字違いだった。一美は一夫と幼稚園の同級生だったといい近づいてくるが、そんなある日、ふとした弾みで寺の階段から落ちそうになった一美を救おうとして、一夫も一緒に転がり落ちる。気がつくとどうしたことか、一夫は一美に、一美は一夫になっていた。二人は入れ違ってしまったのだった。監督の大林宣彦は8ミリや16ミリの個人映画作家として、またテレビCMの敏腕ディレクターとして知られていたが、1977年の『HOUSEハウス』で初めて長篇映画を手がけた。思春期の、少女のなかの少年、少年のなかの少女が重なりあう一瞬のゆらぎを、ファンタジー形式のなかで見事に映像化した作品である。この後に製作される『時をかける少女』(1983)、『さびしんぼう』(1985)とともに「尾道三部作」と呼ばれている。「キネマ旬報」ベストテン第3位。

 

開催日

2025年1月25日(土)〜 1月26日(日)

会場

釜石市民ホールTETTO ホールA

料金

1作品 500円(当日200円増)
割引チケット(各2割引)友の会・シルバー(65歳以上)・まとめ(10枚以上)

お問い合わせ

釜石市民ホールTETTO 0193-22-2266

主催等

【主催】釜石市民ホール、国立映画アーカイブ
《共催》 釜石市 
《特別協力》 文化庁、一般社団法人日本映画製作者連盟、全国興行生活衛生同業組合連合会、株式会社KADOKAWA